今どきのサロン教育最前線 〜CASE4 Teramura Method[寺村流メソッド]〜
人材が育つ仕組み、技術はマインドの上に!
人の育て方を見れば、サロン成長の秘密がわかるもの。
今は理論的にマインドから人を育てることが有効。
勢いのあるレギュラーサロンとシェアサロンをクローズアップしてみた。
時代は確実に変わっていることを感じるだろう。
CASE4 Teramura Method[寺村流メソッド]
「動画を見るだけで満足」はもうお終い!学びを確実に自分の技術に変える寺村流メソッド
世間から“VRの人”と言われている寺村優太さん。しかし、寺村さんが提唱するのは教育改革であり、VR技術はその手段に過ぎない。寺村さんが構築した、VR技術を使わず、効率的に学びを自分のものにするメソッドを紹介しよう。
てらむらゆうた。『スリー』代表取締役。1990年3月7日生まれ。群馬県出身。山野美容専門学校卒業。
寺村優太来歴/スタイリストデビューと同時にフリーランスに転身。ヘアケア専門の美容師として活動し、著書『美髪のルール』は発行部数3万部を突破。
2020年「iii(スリー)」を立ち上げ、VR技術を活用した教育プログラムの構築を行い、全国の美容専門学校に続々と導入されている。
シェアサロン『NEHAN(ネハン)』や美容機器や薬剤開発など、多岐にわたって業界内のさまざまなプロデュースを手がける。
脳の正しい使い方を知り、確実な学びを積み上げる
最後に紹介するのはサロンの取り組みではなく、技術修得メソッド。VR技術を使った教育カリキュラム(VRゴーグルを使用し、身のまわり360度のメタバース=仮想空間に没入して学ぶ)で名を馳せる寺村さんが構築した〝VR技術を使わないメソッド〟だ。
「VR技術を使った教育カリキュラムは日本全国の美容専門学校で取り入れられ始めていますが、サロンでの活用には導入コストの面でハードルが高く、導入サロンは極わずか。でも、脳に直接働きかけることで技術習得を効率的に行うのがVRですが、VR技術を使わずとも、脳に直接働きかけることはできるんですよ。今は、YouTubeやSNSで簡単に技術動画を見ることができますが、動画を見ただけでは記憶に残すことすらできないことをご存じですか?
これは脳の仕組みとして仕方のないこと。脳は1時間経過すると、見たものの半分以下の情報しか記憶しておくことができないからです。しかし、技術の追体験ができるVR動画は、『仮想空間で技術を見る=自分が体験する』ため、自分が経験したこととして記憶に強く残すことができます。
今、多くの方がそうだと思いますが、たくさんの動画を見て勉強したと思っていても、記憶が脳に定着する前に次々新しい情報を入れようとするから、どんどん上書きされて、記憶の半分も自分のものにすることができないのです。だから、昔から『予習・復習が大事』といわれるように、予習はともかく、復習することで脳に情報を定着させることがポイントに。そうするだけで、学んだことすべてが自分の力となり、技術力を積み上げていくことができるのです。
これは、常に新しい技術を学び、スキルアップすることが求められる美容師にはとても大切なこと。VR技術はそれを効率的に行うだけ。結局、学びは自分次第なんですよ。特化型美容師がもてはやされた時代もありましたが、お客さまの好みやライフスタイルが変化しても、それに対応できるオールラウンダー美容師のほうが、長く美容師として活躍し続けられますからね」
POINT 動画で見た技術を自分のものに!脳の仕組みを利用した効率的な練習の手順
動画から学びを得る場合、頭の中で手順をイメージできない状態でウィッグ練習をしても意味がない。まずは手順を完璧に理解することを目指す。わからなくなったら何度でも動画を見直して。1日2時間/1週間、練習を繰り返すだけで技術をひとつ修得できる。
動画を見て、手順をメモする
メモを見て、手順を再確認。
動画を見て手マネを行う。
イメージトレーニング。
ハサミをもってエアー練習。
空き時間に復習する。
About Education Yuta Teramuraの教育は?
Check1 脳の仕組みを理解すれば、効率よく技術習得できる
脳は“何度も思いだした情報”を大切な情報だと認識する
「情報をいかに効率よく脳に定着させるかがポイント。アシスタントに限らず、スタイリストもサロンオーナーにもぜひ知って欲しいメソッドです」と寺村さん。脳は“何度も思いだした情報”を大切な情報だと認識する。ゆえに、思いだした回数が多ければ多いほど、情報が脳に定着していくのだ。
■NG行動
営業後、サロンの教育カリキュラムに沿った技術練習を行う。
↓
帰りの電車で、練習した技術と違う内容の技術動画を見る。
↓
朝の電車で、また別の内容の技術動画を見る。
↓
営業後、昨夜の練習の続きを行う。
脳に情報が定着する前に、別の情報を入れても身につかない!
メモの取り方も大切。ポイントのまとめ方や後で見返したときのわかりやすさなど要約力も身につく。上は、『ネハン』天ヶ瀬哲平さん(下段参照)が書いたメモ
Check2 繰り返すことで考える力がつく
実際に手を動かすと、動画を見ただけではわからないことに気づく
動画を見て手順を要約するコツ、メモのまとめ方、イメージトレーニングを行うこと。それら一連のプロセスを何度も繰り返すうちに考える力もついてくる。メモはスマホのメモ機能でOK。動画で見た情報のなかで、どの情報が自分にとって必要なものなのか取捨選択できるようにもなる。
ネハン』天ヶ瀬哲平さんが動画から学んだレイヤー技術で仕上げたスタイルがコチラ
Check3 メソッドを忠実に実行するだけで技術力アップ
繰り返すことで脳に定着させる“復習”が技術力アップのポイント
美容業界でどう突き抜けていこうか悩んでいたフリーランス美容師の天ヶ瀬哲平さんが教えを請うたのが寺村さん。以前はレギュラーサロンで月200万円を売上げ、決して技術力のない美容師ではなかったが、メソッドに沿って技術を修得し、現在、フリーランスとして月120万円を売上げるまでに。その技術力が認められ、半年後、セミナー講師を任されるようになった
NEHAN 天ヶ瀬哲平(あまがせてっぺい)。『ネハン』所属フリーランス美容師
1998年3月25日生まれ。神奈川県出身。山野美容専門学校卒業。