今どきのサロン教育最前線 〜CASE2 i.[アイドット]〜
人材が育つ仕組み、技術はマインドの上に!
人の育て方を見れば、サロン成長の秘密がわかるもの。
今は理論的にマインドから人を育てることが有効。
勢いのあるレギュラーサロンとシェアサロンをクローズアップしてみた。
時代は確実に変わっていることを感じるだろう。
CASE2 i.[アイドット]
全国に店舗展開した今、統一カリキュラムをなくし、サロン担当者がそれぞれの個性を生かした教育を実施
人の心理やモチベーションの高め方を知れば、自ら動ける人材に育つ。「技術は、マインドの上についてくる」、それが『アイドット』の人材教育。
企業理念: 「点と点をつなげると、アイデアの元となる道ができ、最後はすべてi(愛)で完結する」
店舗数: 全11店舗(すべて直営)東京都=渋谷、表参道、明治神宮前、銀座、亀戸。 大阪府=堀江、心斎橋。福岡県=福岡、天神。愛媛=松山。
従業員: 全140名
オープン年:2019年(東京・表参道に初出店)
上下関係で縛らず、モチベーションを高め合う
急成長を遂げている『アイドット』。1,000万プレーヤーを多く抱え、テレビなどメディアにも引っ張りだこ。オープン3年で全国に11店舗展開する勢いは美容業界でも注目されている。そんな『アイドット』が新卒を受け入れ始めたのはオープンから半年後。短期間で築き上げた教育体制について、『アイドット』代表の山内大成さんにうかがった。
「仲間6人と共に『アイドット』をオープンさせた翌年には20名の新卒社員が入社しました。僕ら代表者全員、SNS戦略を得意としていたのでリクルート活動は難しいものではありません。ただ、創業者6人、さまざまな環境で育ってきているので統一された理論はなく、みんながそれぞれ思い描く教育を行っていましたね。でも、理論は違えど想いは同じ。僕らの経営理念は『すべての社員が〝金銭の余裕〟〝時間の余裕〟をもつことを目指し、〝心の余裕〟をもって人生を歩む。一人ひとりが自分の才能、そして相手の才能を理解し、認め合い、本理念のもと、お互いの成長を目指すウイン・ウインな会社』。この経営理念で僕らはひとつにまとまることができていましたから。
オープンから1年、スタッフや店舗数が増えたタイミングで教育カリキュラムを整備。もちろん、技術教育には力を入れていますが、それ以上に大切にしているのが環境づくり。学ぶスピードは人それぞれですから、しんどい思いをせずに働ける環境をつくり、安心して学べるようにしました。
安定的にスタッフが育つようになると、全国への店舗展開が一気に加速。同時に、人や店舗が増えて目配りしきれなくなりました。そこで、2023年から創業メンバーのなかで教育を担当する僕と蝶野、菊地、藤井の4人がそれぞれの個性を生かして教育を行うように。
例えば、僕のやり方だと働きにくいと感じるのなら、より働きやすい環境の別サロンへ移動すればいい。自分に合う環境を選べるのでスタッフの流出を防げるし、よりスタッフの力を伸ばせるんですよ。まだ、このやり方の効果を測定中ですが、今はとても順調のようです」
EDU1 山内大成
やまうちたいせい。『アイドット』代表取締役。1990年8月26日生まれ。愛媛県出身。名古屋綜合美容専門学校卒業。担当サロン『i.+Omotesando』
POINT[ 2023年度からの新体制 ]4人の担当役員で店舗を割り振り、
独自性をもって教育する
2023年、『アイドット』の経営理念はそのままに、教育担当者がそれぞれの個性を生かしたオリジナルのカリキュラムを行うように方針変更。現在、その効果を測定中。
EDU2 蝶野健太
ちょうのけんた。代表取締役。1982年5月30日生まれ。愛媛県出身。山野美容芸術短期大学卒業。
担当サロン『i.East』『i.Fukuoka』『i.Tenjin』『i.Ehime』
熱い想いでスタッフを導く
自分の時間を惜しまず使い、全力でスタッフに向き合うだけ。スタッフ一人ひとりの夢や目標を叶えるため、技術習得合宿を行うなど技術・マインドの強化を全力でサポートする。
EDU3 菊地佑太
きくちゆうた。代表取締役。1982年3月28日生まれ。茨城県出身。山野美容専門学校卒業。担当サロン『i.Tokyo』
基本にとらわれない自由さを
答えはひとつじゃないということを常に意識し、基本にとらわれない自由さを大切に教育する。経験とワクワクと感動が成長の源。お客さまのために率先して行動できる組織づくりを目指す。
EDU4 藤井一星
ふじいいっせい。代表取締役。1990年3月9日生まれ。山口県出身。ル・トーア東亜専門学校卒業。担当サロン『i.Osaka』『i.Shinsaibashi』『i.Ginza』
努力と結果のバランスを調整
独り立ちしても生きていけるよう一定生産性を確保させることが教育の目的。飛び抜けようとするキャラはとことん伸ばし、デビューまでのカリキュラム管理を見直している最中。
About Education「i.+Omotesando」担当、山内大成の教育は?
Check1 ベースになるのはマインド教育
サロン全体の成長を願う 個人の行動が大切
各教育担当者がそれぞれの個性を発揮したとしても、その根幹にある企業理念「愛をもって行動する」気持ちがあれば、『アイドットらしさ』を維持することは可能と判断。そんななか、山内さんが大切にするのは“マインド”。個人の数字だけを追い求めるのではなく、サロン全体の成長を願い、行動できる人間育成を教育の基盤とする。
月に一度、全体会としてマインド講習会や技術セミナー、練習会を行う。
店長 オープニングメンバー 新屋敷建伍(しんやしきけんご)
1992年9月26日生まれ。東京都出身。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業。
COMMENT
「人間性を高めることを第一に考えたマインド教育が、スタッフのお客さまに対する行動や美容師として技術向上を目指そうとするモチベーション向上に影響を与えているように感じます」
Check2 1歳上の先輩が後輩に教えるブラザー制度
技術力の高い人間が教育することもあるが、一緒に高め合える年齢の近い者をマッチングさせて学び合う。
教える側も教えられる側も成長する仕組み
技術力のある年の離れた先輩が教えるよりも、年の近い先輩が教えるほうがより話を受け入れやすい。技術担当者を1歳上の者にし、より近しい関係性で教え合う。もしも、教える側のスキルが足りなければ、人に教えることができないので、教える側も教えられる側も本気で技術に向き合うようになる。
スタイリスト 中途入社1年目 山口諒(やまぐちりょうへい)
1992年5月1日生まれ。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業。
COMMENT
「美容師9年目で転職。ここにきて自分に改善点がいっぱいあると知りました。もっと美容師として成長したいという想いを叶えてくれる環境があることはとてもありがたいことです」
Check3 信じて任されるからこそ育つ責任感
営業後の練習よりもサロンワーク中の実践練習を大切に
技術教育カリキュラムはあるが、進め方は自由。デビューが早くても実践経験が少ないと自信のない美容師に育ってしまうため、サロンワーク中にヘルプにつかせて実践で学ばせるのだ。「入社間もないスタッフに任せるのはドキドキしますが、信じて任せることで責任感も育ちます」と新屋敷店長。
技術を向上させたいという思いが強いため、誰かが居残って練習するというと、自然と人が集まり練習に付き合うのだそう。
アシスタント 新卒入社7カ月目 CHIADO(ちあど):2002年1月9日生まれ。兵庫県出身。神戸ベルェベル美容専門学校卒業。
COMMENT
「カリキュラムの進め方が決まっていないので、できることとできないことはまだ多いのですが、意見を聞きながらいろんなことにチャレンジできる環境に満足しています」
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