美容業界の先駆者に聞く「美容師として生きる」〜その3 『AFLOAT CEO 宮村浩気編』〜
技術とコミュニケーション力を武器に
カリスマ美容師として時代を築き、『アフロート』を国内外で 知名度のあるブランドへと育て上げてきた宮村浩気さん。 美容師として、ヘアメイクとして、経営者として、3方向で華やかに 躍進を続ける宮村さんの原点とは……?
AFLOAT CEO 宮村浩気
1967年長野県生まれ。山野美容専門学校卒業後、都内有名美容室を経て、2000年『アフロート』をオープン。女性が憧れる人気美容室として、数々のメディアに取り上げられ、有名タレント、モデルからの指名は今なお絶えない。現在FCを含め30店舗を展開する。サロンワークとヘアメイクの両軸で活動する美容師の先駆け的な存在としても知られる。
20代の美容師へ
技術は裏切らない!
20代のアシスタント時代はまさにスタートライン。そこでやるべきは、しっかり技術力を身につけて磨くことです。時間を惜しまずに練習に一点集中!一度身についた技術は裏切らないし、応用が効きます。僕は20代半ばにスタイリストデビューと同時に、ヘアメイクとしての活動も始めました。当時はメイクの知識がまったくなかったのでサロンワークをしながらメイクスクールに通って猛勉強。赤リップが左右対称に塗れなくて、厳しい評価をいただいたこともあります。でも、そうやって当時勉強したことが美容師としての幅になっているように思います。
さらにスタイリストになると、デザイン力と人を飽きさせない知識力が欠かせません。美容に限らず、一般的な女性が興味がありそうなところに目を向けてみるといいでしょう。またセンスを磨くことは簡単なことではないけれど、何にでも興味を持つといいと思います。「なぜその色、その形なのか」「もっとこうだったらいいかもしれない」と思考を広げる癖をつけてください。街を歩く人のメイクやヘアデザインを考察してみるのも、お金をかけずにセンスを磨く一歩になります。海や山といった自然の中で五感を研ぎ澄ますのもいいですね。僕が今20代だったら、いろいろな国を旅行して、自分の目で見て体験してみたい。その経験は後に人に何かを伝えるときにきっと生きてくると思います。
30代の美容師へ
コミュニケーション能力を磨く
30代は仕事ができるようになってきて、顧客がついて、責任のある仕事を任される年代。そこで求められるのが、コミュニケーション能力。対お客さまに限らず、まわりの人と一緒に仕事ができるかどうかです。サロンで働くうえではもちろん、最近は若くして独立する人も多いけれど、店づくりに「人」は欠かせません。
さらにメディアで露出をしたいなら、人にはない発想力やデザイン力も欠かせないし、経営者になりたいのなら数字をひも解き追求する力も必要。デザイナーか、経営者か。道が分かれ始めるときでもあると思います。僕の場合は両方を取ったけど、どちらか決断した方が、適切な成長過程を歩みやすい。僕は独立して半年ほどで、サロンワークに追われヘアメイク活動ができない毎日に「このままでは無理だ」と思ったんです。だから早く人を育てて、僕がいなくても、お店が回るようにしようという着地点に至りました。とにかくがむしゃらだったから、今振り返るともっともっとスタッフに任せればよかったと思います。
40代の美容師へ
土俵を見極めさらにチャレンジ
スタイリストとして壁に直面する人も多いのが40代。売上げが落ちてしまったという人もいるでしょう。そうならないために、30代で顧客をしっかりとつくっておくことが欠かせません。ごく稀に40代でとてつもない人数の新規を集客している美容師もいますが、それは技術力や知識力の賜物。中途半端な技術やコミュニケーション能力では絶対に実を結びません。それまでに培ってきたものが如実に現れます。
美容業界ではベテランと言われても、料理家や映画監督でいう40代はまだまだ若手。体力もあるし、みなぎっているはず。美容師は一生できる仕事だからこそ、自分が輝ける土俵を見極めて、チャレンジしたらいいんです。
column: あらゆる仕事がこなせる iPhone
PCやiPadを使っていた時期もありましたが、結局i Phoneがいちばん!軽いし、機能をうまく活用すれば十分。待受はメキシコの街並み。仕事で訪れて気に入ったので、自分で撮影しました。SNSも自分で更新していますよ。自分の感性を伝えるためには言語化が必須。ライティングスキルを磨くことも意識しています。
美容師を継続するための3つのルール
1.時間を守ることは社会人としての基本
2.仕事に欠かせないコミュニケーション能力を磨く
3.美容以外のことを体験する
>>次の記事へ
"美容業界の先駆者に聞く「美容師として生きる」〜その4 『資生堂トップヘア メイクアップアーティスト 原田忠編』〜" の記事を見る